別に用事なんてない。 放課後は梓と遊ぶか、それがなければまっすぐ家に帰っているから。 「うん、まぁ……ちょっと」 だけど、愁に嘘をついてしまった。 「そっか……。んじゃ、またな」 愁と帰りたくないわけじゃない。 ただ…。 教室から出ていった九条くんの背中が、寂しそうに見えたから。 「うん、またね!」 あとを追いかけずには、いられなかった。