きみだけに、この歌を歌うよ





「っとに、愁くんは菜々に好き好きアピールしすぎ!今さら虫が良すぎる!」

「あはは…」

「ってか、ぼんやりしちゃってどしたの?愁くんのこと、まだ悩んでる?」

「いや……愁のことは考えてなかったよ」

「じゃあ……もうひとりの心優くんのこと?」



保健室に向かって廊下を歩きながら、「まぁ…」と小さく頷いた。



「あぁ、なるほどそういうことか。九条くんが休んでるから寂しいんだね?」

「寂しい……っていうか、ちょっと顔が見たくなっただけ……」

「それを寂しいっていうんでしょー?」



九条くんのこと好きなくせに。

そう言って脇をつついてきた梓は、けらけらと笑っていた。