きみだけに、この歌を歌うよ




涙がぼたぼたと、膝に落ちる。



だけどなんで…。

どうして私は、愁への気持ちが捨てられないんだろう。



「……また泣いてんの?あんたって本当に泣き虫だな」

「ちょっとぉ……いつもあんたとかお前とかって言うけどさぁ。私の名前知ってる?琴野菜々だからねっ!?」



だれが泣き虫だ。

涙を流しながら睨みつけてやると、九条くんはまた声を出してケラケラ笑った。