きみだけに、この歌を歌うよ




「なんかそれって悔しいね…」

「そうか?もうどうでもいいわ」



身体を揺らしながらギターを弾きはじめた九条くんの隣で、ぎゅっと両膝を抱えこみ顔を伏せた。



そうだ……。

愁だって、私への気持ちなんて所詮その程度だったんだ。

だって、本当に私のことを大切に想ってくれていたのなら、急に離れていったりしないよね。

少なくとも私は、そんなことはしない。



愁を傷つけるようなことはしない。