きみだけに、この歌を歌うよ




「ねぇ……九条くんは彼女と別れたとき、どうやって寂しさを紛らわせたの?」



もう、愁のことなんか考えたくない。

辛くなるばかりだから、なにも考えたくなんてない。



なのに。

忘れようと思えば思うほど、その姿を目で追いかけたり、その声に耳をすませたり。



そうやって気づけば、また愁の顔を思いうかべてる。

それが、たまらなく嫌なんだ。