春
朝食後、着慣れた制服を袖に通して溜息を小さくつく。
今日から高校2年生になる。
暖かな陽気に眠気が襲われながらも、不意に上を見上げると雲ひとつない青空に目が少し冴えた。
自転車で15分の周りが田んぼや畑に囲われたのどかな道の先に通う高校があり、続々と生徒たちが門をくぐる。
駐輪場に自転車を停めて、クラス表が張り出されいる玄関前に向かうと、大勢の生徒がガヤガヤと騒がしく集まっていた。
長谷川 純也………
2年2組の真ん中より少し下あたりに自分の名前を見つけた。
「純也ー!!」
振り返ると、見慣れすぎたと言っても過言ではない吾妻の姿が見えた。
「俺たちクラス一緒だぜ!」
「え? …あ、ほんとだ」
「お前自分の名前しか見てねーだろ?」
「まぁ、クラスがわかればなんとかなるしな」
少し不満げそうな吾妻と2組の教室に向かった。