「いいんちょー」


夕日に照らされ、赤く染まる教室内。

机に伏せって僕を呼んだ けだる気な声に振り返る。


彼の名前は仁藤アキラくん。

僕の通う高校でも珍しい不良です。

えぇ、紛うことなき不良です。

輝くような金髪に、両耳につけられたいくつものピアス。

ときどき学校に来ない日もある方です。

むしろ、これで不良でないと言われたら、僕は驚きます。


そして不良の見本のような彼とは反対に、牛乳瓶の底のように分厚いぐるぐる眼鏡を装備し、いつの時代だかわからないような七三わけの真面目の見本のような僕。

性格だって、真面目一辺倒です。多分。