背中合わせ。

あっさりと言って帰るつもりだった。

生きてく中で出会うただの一人なのに…。



今何か伝えておくべきなのかもしれない。
でも考えるほど言葉は見つからない。







「…俺、もう行くな。」

「あ、うん…」



白く染まる息が寒さと虚しさを引き立てる。

彼は静かに歩きだす。



私といて幸せだった?

なんで今になって愛しいと思うの?



数十メートル先の入り口の横の花壇に何か置くのが見えた。

目の前が滲んでわからなかったけれど。