世界は悲しいくらい闇に包まれていた。
それはミルクが生まれて、少し経ってからの事だったらしい。突然、この星から太陽が奪われたのだ。

 太陽と言っても、この星の太陽は人工太陽で、それでも人々を暖かく照らしてくれていた。

「なのに奪ったやつ、まじ殺す!」
 
 ミルクの大きな独り言に昼寝をしていた医者のビスキーは飛び起きた。

「何だ!殺し合いか、けが人は?」

「大丈夫よ、愛する人。ただのミルクの独り言よ」

 ビスキーをビスキーの助手のイルダが抱きしめる。

「ミルク夢は夜見なさい」

「だってさ、許せねーだろ?イルダさん。
そいつのせいで俺らは、こんな寒い所で野宿してんるんだよ?」

 3人は人工太陽を探す旅をしている。街はドームに囲まれている為に比較的暖かったが、一歩外に出ると身にしみる寒さだった。

「……問題ないわミルク……
私と愛する人は抱き合って寝るから」

「……そうですか……」

 独り身が身にしみる夜だった。