中学の時の私は、今の私とは違ってそこそこ上手く人付き合いをしてた。


小中一貫の私立校だった私の学校は、中学に入っても見慣れた顔ばかり。


特に努力しなくても、いつも周りには友達がいた。


その中でも、親友と呼べるくらい仲が良かったのが好実【このみ】ちゃんという女の子。


中学3年の一学期に隣の席になって以来気が合い、みるみる仲良くなっていった。


その頃からすでに、“西園寺家”の私をどこか特別扱いしている子達が多くて、時々みんなとの間に大きな壁があるように感じていた。


だけど、好実ちゃんだけは違った。


いつも普通に接してくれた。


私はそんな好実ちゃんが大好きだったんだ。



そんなある日。



『え?好実ちゃん。公立高校に進むの?』


『うん。そうなの』


好実ちゃんが、県内でもトップの公立高校に進学を希望してることがわかった。


『私、どうも私立は合わないみたい。何だかみんなと価値観が違うんだよね』


私と同じだって思った。


周りの子達は両親の影響からか、友達を家柄で選んだり、上下関係を作りたがる人ばかりで、それが窮屈で仕方なかった私は、何で今まで公立高校に進学するという手段を思いつかなかったんだろうって、この時驚いたんだ。


それに何より、好実ちゃんと同じ高校に進学したい。


そう思った。



『好実ちゃん!私も!私も好実ちゃんと同じ高校に行く!』