「の、野々原さん!しーーっ!!」


「西園寺さん慌ててどうしたの?あれ?五十嵐くんとこもりん、いたんだねー!」



いたよ!さっきからずっといたよ!!


しかも、あなた!彼らの前でサラリと言っちゃいけないこと言っちゃったよ!!



「の、野々原さん!ちょっとこっちに……」



とりあえず、会長から逃げるべし!と野々原さんの腕を掴んだら。



────ガシッ!



逃がすまいと力強く肩を掴まれる。


恐る恐る振り返ると……。



「嘘はついちゃいけませんって、習わなかったか?あ?」


「いや……その……」


「習わなかったか?」


「……ごめんなさい。習いました……」



鬼生徒会長、降臨。


額に血管を膨らませた会長が、絶対零度の笑みを浮かべていた。


笑ってるのが逆に怖いっ!!


背後に猛吹雪が見えるんですけどっっ!!


凍る!凍っちゃうよ!!


もうこれは完全に言い逃れできない模様。



「だ、だって……!私が出たって空気が悪くなるだけだし…みんな嫌だと思うし……それにそれに……」


「うるさい」


「キャッ……!?」



ふわりと体が浮いて、思わず悲鳴を上げる。


気がつけば地面から足が離れていて、会長のジャンプーの香りがふわっと鼻をかすめた。