「お前、何かあったのか?さっきから浮かない顔してるぞ」
「へ!?べ、別に何もないよ!」
「……ふーん」
なんて鋭いヤツ。
普段と変わらなくしてたつもりだったのに……!
だけど、これ以上深くつっこまれるわけにはいかない。
放課後の練習をサボって帰ろうとしてるなんてコイツに知れたら、みんなのところに連れ戻されてもおかしくないもん。
それだけは困る!
どう誤魔化そうかと考えていたら、私の顎を掴んでいた会長の手がゆっくりと離れていった。
「まぁいい。じゃあな。気をつけて帰れよ」
会長はクシャッと私の髪を撫でると、来た道を戻って行った。
よ、よかった……。
とりあえずは気づかれなかったみたい。
クラスが違くて本当によかった。
同じだったら誤魔化しなんて利かないもん。
後はこのまま球技大会当日まで、私が練習に参加してないことがばれなきゃいいんだけど……。
会長忙しそうだったし、私のことまで構ってられないよね。
それなら、そう簡単にはバレやしないか。
────だけど、その考えは甘かった。
「お前、今日は午後練の日じゃなかったのか?」
2回目の午後練にも参加せず、今まさに帰ろうとしていた時のこと、昇降口を出たところで会長と小森にバッタリ出くわしてしまったのだ。



