「会長……」
下駄箱横の廊下から会長に呼び止められた。
会長も帰り……?ではなさそう。私の方へと歩いてくる会長の手には何か資料みたいなのが握られてるし、カバンも持ってない。
「会長は今から生徒会?」
「ああ。球技大会の準備も手伝わなきゃならなくてな。今からそれの打ち合わせだ」
そっか。
生徒会って行事のたびに動かなきゃならないんだっけ。
その他の仕事だってあるのに、どんだけ忙しいんだ生徒会。
そのくせ、会長は帰ってきてからも疲れた様子一つ見せずにテキパキ動くんだから、やっぱり同じ人間とは思えない。
体力があるんだか、要領がいいんだか。
「それと、クラスの方の練習にも参加しなきゃならないから、しばらく帰りが遅くなると思う」
「わかった。まぁ、気にしないで。適当にご飯とか買って食べるし」
「ああ。頼む」
話も終わり、「じゃあね」と言って帰ろうとすると、いきなり会長に腕を掴まれた。
「な、何?って、わっ!」
しかもしかも、眉間にシワを携えた会長に突然顎を捕まれ、グイッと持ち上げられてしまう。
な……な……。
会長の顔があまりにも近くて、心臓の音がどんどん加速していく。
何!?何なの!?
コイツ時々距離感がおかしいっ!



