「校則違反を叱るみたいにグダグダ言わないでくれる?家での居心地まで悪くなるんだけど」


「居候している以上、家主のルールに従うのが常識だと思うが?」



私は腰に手を当て会長を見上げ、会長は腕を組み、私を見下ろす。


毎度お馴染み、火花を散らした睨み合いの始まりだ。



この間の中間テストの一件以来、“実は会長って案外いいヤツなのかも”って思い始めていた。


勉強会の期間はあーだこーだ言われて確かに腹が立ったけど、まぁあれも裏を返してみれば私のためだし?


事実、会長が私のテストの結果を報告しに行ってからというもの、私を退学にすべきだって言ってた先生達がすっかり静かになったらしい。


あ。これはこの間、野々原さんが教えてくれたんだけどね。


それもこれも、会長が先生達から私を庇ってくれたからなわけで……。


ちょっと……いや、かなり意外だったけど、会長が私の味方をしてくれたことは正直嬉しかった。


今まで、本当の私を知った上で、あんな風に私の味方をしてくれる人なんていなかったから……。



だけど今は、やっぱりあれは会長の気まぐれだったのかもって、ちょっと思ってる。


ただの気まぐれ。


だって、この目の前の鬼からは、微塵の“いいヤツ”も感じられないんだもん。


きっと、中間テストの返却日の“あれ”も私の勘違い。