答えが出る間もなく、その体温はすぐに離れていった。


会長が立ち上がって、リビングを出て行く音が聞こえる。


会長がいなくなったのがわかって、バチッと目を開ければ、無性に照明の光が眩しく感じた。



「な……な……」



今……今……


額にキスされなかった……?




顔が熱い。


会長が触れた、額が熱い。


心臓が尋常じゃないくらい早くて、どうにかなっちゃいそう。



気のせい……だよね?






何でだろう?


何で私はこんなにも、アイツにドキドキしてるんだろう?


もしも、もしも今のがキスだったら、


ちょっとだけ嬉しいかもって、何で思っちゃうんだろう?






お母さん。


この答えを知っていますか?


鈴にとって世の中は、まだまだ不思議なことだらけです。