だから、何なの?
何でそんなに怒ってるの?
俺に聞けばいいだろって。
そんなの……。
ブワッと下まぶたに溜まる涙。
一気に視界がぼやけていく。
涙の向こう側で、ハッとしたように会長が目を見開くのがわかった。
「ぞんなの……聞けるわげないじゃないぃぃ〜〜〜」
「なっ!?おまっ…何で泣くんだ!」
「会長怒ったじゃない!ひっく!呆れて出て行ったじゃないぃぃぃ〜〜」
「ちょ…待て…!あれは別に怒ったとか呆れたとかそんなんじゃ……悪かった!悪かったから!!」
うわーんと子供のように泣く私を前に、珍しくワタワタと取り乱す会長。
何でこんなに泣けてくるんだろう?
会長が怖いからじゃない。
悲しいからでもない。
「っあ〜〜くそっ!」
────グイッ!
……そっか。
会長が私の目を見てくれたから、嬉しかったんだ。
掴まれていた手首を引き寄せられ、バランスを崩す私。
会長は私の後頭部に手を回すと、私を強く自分の胸へと押し付けた。
なっ…なぁぁぁぁぁーーーーー!?!?
「か、かいちょ……」
「俺はっ……女に泣かれるのが苦手だっ」
ぎゅうっと会長が腕に力を込める。
く……苦しっ……!
「会長離してっ……」
「やだ。離さない」



