最初は絶対に仲良くなんてなれないと思ってたのにな。


こんな風に近くなれるなんて、何だか不思議。


仲良くなんかなれなくてもいいやって。


理解してもらえなくてもいいやって。


壁を作っていたのは、私の方なのかも。



「小森って、会長が好きなんだね」


「なんすかそれ。知らない人が聞いたら誤解されますよ」


「会長を守りたくて私にあんなこと言ったんでしょ?あんた、案外いいヤツなんだ」


「なっ……別に。アンタに褒められても嬉しくないですし……」



あ。テレた。



「何笑ってるんですか!?早くこの問題解いちゃってくださいよ!俺が帰れないじゃないすか!」


「あはは!はいはい!」


「ちょっ!頭撫でるなっ!」



────ガラッ。


あ。


一瞬、野々原さんが忘れ物でも取りに戻って来たのかと思った。


だけどそうじゃなくて、ドアのところに立っていたのは……。



「会長?」



会長は珍しく驚いたように目を丸くしていた。


小森に手首を掴まれたまま静止している私を見ると、途端に眉間にしわを寄せる。


それから、ツカツカと私達のところへとやって来たかと思うと、小森から引き離すように私の腕を引っ張った。


は!?


な、何!?



「ちょ……会長!?どうしたの!?」