え!?今、謝られた!?


私の聞き間違い!?



「何急に。変なもんでも食べた?」


「食ってませんっ!あーもうっ!俺だってしゃくです!しゃくですけど……この間のアレは、言い過ぎました。忘れてください」



この間のアレって……何が目的で会長に近づいたんだってやつ?


うわっ。ごめん小森。


今の今まで忘れてたよ。


あの時はかなりショックを受けたはずなのに、今では遠い昔のことのように感じる。


最近テストのことしか考えてなかったし。


そもそも、私ってわりと寝たら忘れるタイプだし。



「そういえば、西園寺さん。その話聞いたよー。うちのこもりんがごめんね?ビシッと怒っといたから!ふふ。こもりんね、会長を取られてヤキモチやいてたみたいなの」



野々原さんが、資料棚の資料を整理しながら含み笑いを漏らす。



「なっ!違いますよっ!俺は会長が女に騙されるとこなんて見たくなかっただけであって!」


「はいはい。こもりんは心配性だもんねー。五十嵐くんに限ってそんなわけないじゃない〜!本当、こもりんは可愛いよね」



クスクスと笑う野々原さんに、口をパクパクさせながら真っ赤になる小森。


「子供扱いしないでください」って不服そう。


ふ。何だ。可愛いとこあるんじゃない。



「ま。気にすんな」


「軽いっすね」