会長がそう言うと、先生達は気まずそうに黙ってしまったらしい。


「それでね、五十嵐くんよっぽど頭にきてたみたいで、先生達の前で宣言したの。

“アイツのことは一先ず生徒会に任せてください”って。

“次のテストで必ず挽回させてみせますから”って……」



……会長……。


それじゃあ、会長がこの勉強会を始めたのは、私のためだったの……?



「私、五十嵐くんと中学も一緒でね?結構前から彼のこと知ってるけど、あんなに感情的になる彼初めて見たな。だから、西園寺さんがどんな人かずっと気になってたんだけど……」



私の様子に気付いた野々原さんが、眉尻を下げてクスリと笑う。


そして、私の横髪を優しく撫でてくれた。



「やっぱり、思った通り素敵な人だったな」



ポロポロポロポロ。


私の頬を涙が伝って落ちていく。


落ちていく先は、会長が私のために作ってくれたプリント達。


なんだかそれが無性に愛しく感じて、ギュッと胸に抱きしめた。



会長のバカ。


何だそれ。


何でそんなこと言うのよ。


それじゃまるで、アンタは


本当の私を見てくれてるみたいじゃない……。



“誰も本当の私なんて見てくれない”


そう思ってた。


だけど、もしかしたら────。



その後、しばらく泣き続けた私の頭を野々原さんはずっと撫で続けてくれた。