ビシッと突きつけられる人差し指。



偉っそうに………!



「勝手にすればいいわ!アンタに何を言われようが、私は変わらない!!アンタの指図なんかぜーーったいに受けないから!!せいぜい時間を無駄にすればいい!!」



校則なんて知るかっての!!


突きつけられた指を乱暴に払って、校舎に向けて猛ダッシュ。


逃げるが勝ち!!



あーもうホント、ムカつくったらありゃしない。


校則校則校則って!


そもそもこの学園に通ってるのだって、私の意思なんかじゃないんだから!




小さい頃からいつもそうだった。


私の思った通りになんて何一つならない。


西園寺家の一人娘だから。


西園寺家の恥にならないように。


西園寺家らしい行動をとるように。


大切なのは西園寺家の名。


誰も私なんか見ちゃいない。


私の声なんて聞いちゃいない。















「お帰りなさいませ。お嬢様」


「ただいま」


家の扉を開ければ、待ってましたとばかりに玄関にズラリと並んで頭を下げるお手伝いさん達。


西園寺家の一人娘って事実が、家に帰ってきてホッとする間も与えてくれないから嫌んなる。