「ちょっと!何すんのよ!」
「こんなこと、時間の無駄じゃないですか」
時間の……無駄……?
「留年でも退学でも、するなら勝手にしてくださいよ。わざわざ会長を巻き込まないでください。会長はアンタみたいのに構ってられるほど暇じゃないんです」
「……っ」
「名門の家柄か何か知りませんが、会長を利用しようもんなら俺が許しませんから」
小森はそうやって私に忠告をすると静かに立ち上がり、生徒会室を出て行った。
ピシャリと乱暴に閉まった生徒会室のドアを私はただただ見つめていた。
別に、この見た目で勘違いされることなんて慣れてる。
遊んでそうって思われるのだって、いい加減なヤツだって思われるのだって。
嫌われるのだって。
だけど……。
お金や家柄や顔が目的で近付くような人間に思われてるなんて……はは。ちょっとショックかも。
私の一番嫌いな人間に、私自身も見られてるんだ……。
床に散らばったプリントを一枚一枚拾っていく。
この勉強会だって、会長が勝手に始めたことじゃん。
私が頼んだわけじゃないのに。
利用なんてしてないのに。
そんなことしないのに。
私って、そこまでどうしようもないヤツに見えるの?
「っ!」
指先に鋭い痛みが走る。



