嫌われてるもんをどうこうしたいだなんて思わないし。
「手、止まってるんすけど」
「うん。だって、わからないし」
「はぁ?そんな問題、1年の俺でも解けますよ?」
はぁーとあからさまに大きな溜息をつかれる。
なっまいきなヤツだなー。
よく見れば、可愛い顔してるのにもったいない。
メガネとモサイ髪型で気付かなかったけど、女の子みたいな顔してるのね。
さっきみたいに笑ってた方が全然いいと思うんだけど。
「そんなこと言われても、わからないものはわからないし」
降参とばかりにシャーペンを長テーブルの上に置くと、さらに大きな溜息をついた小森が鋭い視線で私を睨んできた。
あ、この目。
この目はよく知ってる。
私のことを理解できないって言う、お父さんやこの学園の生徒達と同じ目だ。
「会長に近付いたのは何が目的っすか?」
「……は?」
「金?家柄?それとも顔?アンタみたいに校則もろくに守れないような人は、どうせろくなこと考えてないんでしょうね」
小森の手が、会長が作ったプリントの束をテーブルから払い落とす。
プリントが散らばるのと同時に、一緒に置いてあったシャーペンが虚しい音を立てて床へと落ちていった。



