喉に触れると、ほんの少し手に血がついた。


それを眺めていれば、会長の顔色が変わる。


眉を寄せて、何だか苦しそう?



「女が取っ組み合いなんかするな」


「いや、誰のせいよ」


「…………だな」



だなって……。


コ、コイツ……本当にどうしちゃったの!?


いつもならもっと突っかかってくるのに!!


調子が狂う!!!



シュンと項垂れた様子の会長の顔を恐る恐る覗き込んでみる。



「……か、会長?」


「……た」


「え?何?よく聞こえな…」


「悪かった」


「……っ!」



上目遣いで、私を見てくる会長は。



「巻き込んで悪かった」



いつもの鬼の面影一つなくて。



「ケガまでさせて……ごめん」



心底反省しているといった様子。


そんな会長はちょっとだけ……。



「ぶふっ……!!」


「お前……」


「あははははははははは!!!!」



ほんのちょっとだけだけど、親しみやすくて。



「普通笑うか?人が真剣に謝ってんのに」


「だって……っ!!ほっぺに真っ赤な手形つけながら……そんな申し訳なさそうに……!っぶふーーっ!!」


「……お前もういい。黙れ」