「いや……なんか、嫌じゃないのかなって。そういうの。見た目とか家柄がどうとか……。本当の自分を見てほしいって思ったりしないの?」
少し驚いたような視線を向けられて、フイと目を逸らす。
……変なこと言っちゃったかも。
だって、何だか会長も同じなのかなって思ったから。
見た目で判断する人にも、家柄で近寄ってくる人にもうんざりしてる。
そんなのに惑わされず、自分自身を見てほしいって。
そう思ってるのかなって。
「別に、何とも思わないな」
「え?」
「言いたいヤツには言わせとけって話だろ。見た目や家柄で人の価値を決めるようなヤツらに、本当の自分を知ってもらって何になる」
逸らしていた顔を再び会長に向けると、会長の真っ直ぐで澄んだ瞳が私へと向けられていた。
コイツって、何でこんなに真っ直ぐ人の目が見られるんだろう?
「大切なのは、誰彼構わず自分を受け入れてもらうことじゃない。自分と真剣に向き合ってくれるヤツを見極めて、そういうヤツを大切にすることなんじゃないか」
「そんな……自分と向き合ってくれる人なんてそう簡単にいるものじゃないでしょ……?」
やっぱり、会長は私とは違う。



