しかも、ヤツの気に食わないところはこれだけじゃない。
「あ?口答えするなら、すぐにでもそのレモンみたいな頭、刈り上げてやってもいいんだぞ?」
「はぁ!?その前に、あんたの髪の毛一本残らず引っこ抜いてやるから!」
またしてもガルルグルルと睨み合っていると。
「キャー!五十嵐様よ!」
「五十嵐様今日も素敵ー!」
「五十嵐様!おはようございますー!!」
女子達がキャイキャイ言いながら、ヤツに群がってくる。
そう。
この男の気に食わないところ其の二。
それは、この学園一と言っても過言ではないほどモテるってこと。
なんでも、国内ならず海外にまで複数のホテルを経営する、かの有名なホテル王の子息らしく、この学園の中でもトップクラスのお坊ちゃん。
それに加えて、このイケメン芸能人並に整った容姿ときたもんだ。
クッキリした二重まぶたに、女子みたいに長いまつ毛。
スラッと通った鼻筋に血色のいい唇。
傷み一つないツヤツヤの黒髪は、余計にこの男の端正な顔立ちを際立たせてる。
オマケに女の私から見ても羨ましいくらいのスベスベ肌まで持ち合わせているなんて……。



