まぁ、そう言われるのも慣れっこだし、何とも思わないけどね。
そう思っていたのに……。
「黙れ」
会長の乾いた声が響いて、里香さんがぐっと押し黙ったのがわかった。
途端に部屋の中がしんと静まり返る。
会長……?
「里香。俺はもうお前に会うことはない」
「……え?」
会長と視線が交わって思わずドキッとする。
な、なに!?
それから、会長はゆっくりと私の方に歩み寄ってくると────
「……っ!?」
私の後頭部へ手を回し、
私の頭を自分の胸へと引き寄せた。
なっなななななな………っ!?!?
「悪いけど。俺は今こいつで手一杯なんだ」
何が……起きてるの?
後頭部に置かれた手から伝わってくる会長の体温とか。
鼻をかすめる会長の香りだとか。
私が知ってる会長のイメージとは違ってやたら優しくて……。
心臓が壊れちゃいそうなくらいドキドキしてる。
一方、その様子を見た里香さんは、眉根を寄せてキュッと口を結ぶと、ツカツカと会長の前にやって来て。
────バチーーン!!!
ひっ……。
「……ろくでなしっ!!!」
ひっぱたいたーーーっっ!?!?!?



