キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜


……誰か……私に気付いて。


私はここだよ。


お願い。気付いて。




────“鈴”




……お母……さん?


膝に埋めていた顔を上げると、遠くに人影が見えた。


けれども、何となくそこに人がいると分かるだけで、表情などは見て取れない。


その影はゆっくりと右手を持ち上げると、私に人差し指を向ける。


ううん。違う。


正確には、私を超えた先を指してる。



────「鈴が心から楽しくて、笑顔になれる場所を……」



その影が声と共に、だんだんと遠のいていく。



待って!お母さんっ!!


行かないでっ!!


私にそんな場所なんてない!!


どこにもないの!!


ねぇ!お母さんっ!!!


一人にしないで……っ!!


────

───




「待っ……て……」


「待つかバカタレ。さっさと起きろ」



ん?


見たことない天井に……鬼…生徒会長?


え?


え!?



「うわぁぁぁぁ!!!!」


「やっと起きたか」



ベッドから飛び起きた私の目に飛び込んで来たのは、腕組みをし呆れた表情を向けてくる会長の姿。



「ちょっと!!何勝手に入ってんのよ!!」


「勝手も何も、ここは俺の家だ」



そそそ、そうだけどっ!!


そうだったけどもっ!!!



会長が勢いよくカーテンを開ける。


朝の光が寝起きの目にしみる。