「うるさいな。アンタには関係ないでしょ?ほっといてよ」


「関係ないことないだろ。このままほって帰って、お前に何かあったら後味が悪い」



腕と足を組んでドカッとベンチに座り込む会長。


これは、私が帰るまで見届けるぞっていう意思表示か。


知らないし。


責任感か正義感か知らないけど、そんなの押し付けないでほしい。



「帰れ」


「帰らない」


「帰れ」


「帰らないって言ってるでしょ!!!」



静かな公園内に響く私の声。


誰が聞いても切羽詰まってるなって分かるほどヒステリックに響き渡る。


会長はそんな私を顔色一つ変えず真っ直ぐ見つめてくる。



「あんな家、絶対に帰らないっ……」



お父さんは、お母さんを楽観的だったって言った。


あの人は何にも分かってない。


お母さんの死で何も学んでない。


そういう人だ。


この先も、私とあの人が理解し合うなんきっと無理。


だったら、あの家にいることすら無意味でしょ?


込み上げてくる涙を必死に堪えて、自分のつま先へと視線を落としていれば、つむじの先で会長が動いたのが分かった。