「……浴衣」
「え?」
「似合ってたぞ」
「……っ」
さっき目が合ったと思ったのは、気のせいじゃなかったんだ。
少しだけ私に視線を落とした会長と目が合って、お互い直ぐに目を逸らした。
あぁ。
何だか、わかってしまった気がする……。
「ねぇ、会長」
「ん?」
「ちょっとだけ、甘えても……いい?」
会長のシャツを遠慮がちにキュッと掴む。
すると会長は一度驚いたように目を見開いてから、すぐにその目を細めた。
「……熱があるしな。今日は特別甘やかしてやる」
そう言って私を地面に下ろし、私に向かって腕を広げる会長。
涙でぼやけてるけどわかる。
会長、凄く優しい顔してる。
吸い込まれるように、会長その腕の中に飛び込んでいく。
私の体に回る会長の腕は、力強くて温かくて。
後ろ髪をなでるその手は、涙が出そうなくらい優しい。
会長。
私、わかっちゃったよ。
悲しくなったり。
頭にきたり。
嬉しくなったり。
幸せを感じたり。
私達の前で忙しなく打ち上がるこの花火みたく、いろんな色や形に変化するこの想い。
────そっか私、
会長に恋してるんだ。



