────ゴォンッ!
思い切り二人にゲンコツをお見舞した。
*
「普通、ゲンコツとかするか?」
「お嬢様は昔から手癖がよろしくありません」
やって来たのはスーパーから目と鼻の先の公園。
「あんた達があんな場所で喧嘩始めるのがいけないんでしょ!?もう少しで警備員に連れてかれるとこだったじゃないっ!」
ベンチに座り、私に殴られた頭を不満気な様子でさする二人に、仁王立ちで説教中。
もうっ!
何でこんなことになってるんだ!!
「で?」
「は?」
「この男は一体お前の何なんだ」
「な、何なんだって……」
足と腕を組み、あからさまに苛立たしげな様子の会長。
てかコイツ…さっきから何イライラしてるんだ?
いつも冷静な会長らしくない。
滝本も滝本で、いつも私には穏やかでニコニコしてるのに、何だか膨れっ面だし……。
「滝本はうちの使用人の一人で、私のお世話役だよ」
「……は?世話役?」
会長は訝しげに眉をひそめる。
「世話役って……。制服を着てるってことは、コイツは俺達と変わらない歳だろ?年頃の娘に同じ年頃の異性の世話役って、お前の家は一体どうなってるんだ」
「西園寺家をバカにするとは、本当に無礼な男ですね」



