空気がビリビリしてるって!!
視線がバチバチしてるって!!
オマケに野次馬まで集まってきてる!!
「ちょ……ねぇ2人とも!場所変えようよっ!話はそれからでもいいでしょ?」
そう言う私の声は、どうも二人の耳には届かないらしい。
「彼女に気安く触らないで頂けますか?すぐにその汚い手を離してください」
「お前こそコイツに抱きついてただろ。痴漢か何かなら容赦しないが?」
更に睨み合いが激しくなっていく。
おでこがくっつきそうな勢いで間合い詰めていく二人に、ハラハラオロオロしている私。
しかも……。
「おい。そこの君達っ!」
げっ!!
警備員さんまで駆けつけてきた!!
こ、これは本気でヤバイ!!
「ね、ねぇっ……」
「話になりませんね。そっちがその気なら力づくでも奪いますが?」
「ちょ……」
「それならこっちは、死ぬ気で守り抜くまでだ」
つーかコイツら……私の存在忘れてない?
そもそも何?
何なのこの状況……。
会長と滝本がネクタイを緩めて戦闘態勢に入る。
警備員は野次馬をかき分けてる真っ最中。
だけど、二人はそんなのお構い無し。
「ひ……」
そんな二人にもはやイライラゲージが振り切れてしまった私は。
「人の話を聞けーーーーーっっ!!!!!!」



