まさか、私が友達とそんなのに行く日が来るなんて。
何だか凄くくすぐったいや。
*
「あ」
「よぉ」
その日の帰り道。
駅の改札でバッタリ会長と鉢合わせた。
「珍しく帰りが早いんだね」
「今日は野々原も正貴も用事で帰ったからな。生徒会の仕事もないし、俺も早目に帰ることにした」
「へぇ。そんな日もあるんだ」
生徒会は毎日集まりがあるものだとばかり思ってたけど、こんな日もあるんだ。
会長はいつも生徒会の仕事をしてから家に帰ってくる。
だから、毎日同じ家に帰ってるってのに会長と下校したのは球技大会の日くらい。
しかも、あの日は私が怪我をしてたから、会長とタクシーで帰ったし。
学校でも家でもないところで会長を見るのは何だか新鮮だ。
定期をかざして駅構内に入る。
会長と肩を並べながら駅のホームへと続く階段を下る。
「今日の夕飯の買い物どうするんだ?」
「地元のスーパーが特売日だからそこ行くつもり」
「ぶっ…!」
「ちょっと。何笑ってんのよ」
手の甲で口を押さえ、ククッと喉を鳴らして笑ってる会長。
「いや、すっかり庶民が板に付いてきたなと思ってな」
「う、うるさいなっ!」
またそうやって馬鹿にしてさ。



