そういえば、滝本は元気してるかな?



あれからかれこれ、二ヶ月が経とうとしている。


家を出たあの日、私を止める滝本の手を振り切ってきてしまったから気まずくて、何度もスマホに着信があったものの無視し続けてる。


お父さんから友達の家のお世話になっていることは聞いているだろうけど、滝本のことだから……きっともの凄く心配してるだろうな。


それに、会長がお父さんに何て話したんだかは知らないけど、そろそろ友達の家にお世話になってるってヤツも限界なんじゃないだろうか。


“人様の家にいつまでお世話になるつもりだ!”って、お父さんから連絡が来ないのが不思議なくらいだ。


それだけお父さんにとって私は、厄介者だったのかもしれないけど……。



「西園寺さん大丈夫?」


「あ。ごめん!で、花火大会がどうしたの?」



池崎さんがショートボブの髪を揺らして、ズイッと私に顔を近付けてくる。



「うん!実はね!クラスの女子みんなで浴衣着て花火大会に行こうって話になってるんだけど、西園寺さんもどうかなって!」


「私も……?」


「うん!西園寺さんと遊んだことってまだないし、みんな楽しみにしてるよ!」



池崎さんがチラッと自身の背後に目を向けたので私もそちらに視線を移すと、何人かで固まって話しているクラスの女子達がニコニコしながら手を振ってきた。