キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜


「私が何のために小さな頃から様々な習い事をさせてきたと思ってる。それも全部辞めてしまって、今じゃ品格も何もあったもんじゃない……」


眉間を押さえ、お父さんはまた大きな溜息を零す。


「西園寺家の恥もいいところだ。縁談の話などが持ち上がる中、私がどのような気持ちで先方にお断りしているか、お前に想像ができるか?」


……はいはい。


私みたいな娘じゃ恥ずかしくて、誰にも紹介できませんよね。


昔から西園寺家は、早いうちに婚約者を決める仕来りがあるらしい。


私みたいに17歳になっても、お見合い一つしていないのは前代未聞だとか。


私のお父さんとお母さんも18歳で結婚したって、前に滝本が話してくれたっけ。


昔はどうだったか知らないけど、こんなに早くから一生を添い遂げる相手を決めるなんてバカげてるって私は思う。


しかも、親が決めた相手とだなんて。


私は絶対無理。


自分の結婚相手くらい自分で決めたいと思うのって、当たり前のことでしょ?


そう思うから、お父さんが私の見た目を気にして縁談の話を断ってくれるのは、願ったり叶ったりだってちょっと思ってる。