「あっ…あれは……!」
「しかもさぁ〜?誰に対しても態度を変えないあの五十嵐様が、西園寺さんの前だと何かが違うっていうかぁ〜?西園寺さんを見る目が妙に優しげっていうかさぁ〜?」
みんなうんうんと力強く頷いてる。
は!?何それ!?
「優しげ!?どこが!?みんな目がおかしいんじゃない!?アイツめっっちゃ私に対して鬼だから!!超鬼畜のドS野郎だよ!!」
私を見る目が優しいとか、勘違いも甚だしいよ!!
だけど、そんな私の主張なんて知ったこっちゃないようで。
「五十嵐様なら鬼でもいい〜!罵られたーい」とか騒ぎ始める女子達。
嘘でしょ!?
何ならお譲りしますけど!?
こっちは朝から晩まで……いや、寝る直前まで罵られてますからね!?
「そもそも、アイツがあたしみたいなのなんか相手にするわけないでしょ。他に可愛い子なんか山ほどいるし。アイツなら引く手あまたってやつだから」
モジモジとボールをいじりながらそう言うと、みんな一斉に黙り込み、怪訝な顔で私を見始めた。
え。今度は何?
私、変なこと言った?
「西園寺さん。自覚なしなんだね」
「え?何が?」
「西園寺さん。その山ほどいる可愛い子の中のヒエラルキーの頂点だって、気づいてないでしょ?」