「勘違いなんかしてないわよっ!!」


「そうか?あまりに避けるのが上手かったから、つい、な」


「あんた間違いなくバカにしてるでしょ!?」



「はっはっはっ」とかふざけた笑いをしながら通り過ぎ、体育館の隅で何やら作業を始める会長。


むぅ。バカにしやがって。


そう言えば今朝、今日は球技大会の会場準備で忙しいって会長が言っていた。


今やってる仕事も準備の一つなんだろう。


てかアイツ、練習とかしなくて大丈夫なのか?


確か、種目はバスケの方に出るって言ってたけど……。


人のこと笑ってるけどさ?


球技大会でヘタこいたら、目の前で腹抱えて笑ってやるんだから。




「ねぇねぇ、西園寺さん」


「ん?」



会長とのやり取りを見ていた女子達が、突然私の周りに集まってきて、なぜかコソコソ話をし始める。


さっきまで、まるでコーチさながら頼もしかった池崎さんまでやってきて、頬を染めながら意味深な笑みを浮かべてる。



「西園寺さんと五十嵐様ってコレなの?」



ニヤニヤしながら、両手でハートマークを作る池崎さんの目は、興味津々といった感じ。


会長と……ハート?


って!



「はぁ!?違う違う違う違う!!!!」



必死に両手を横に振って断固否定するものの。


「えー嘘だぁ!だってさ、この前手繋いでたじゃない〜?」