女子も男子も、私と野々原さんのところに集まってきたかと思うと、ガシッと肩を組まれた。
「なっ……なに!?」
私の右側には、二カッとはにかんで見せる赤井くん。
「円陣だよ。西園寺さんやったことない?」
「な、ないよ!」
「西園寺さん、かけ声がかかったら“オー!”だよ?」
左側でニヤッと笑う野々原さん。
「へ?おー?」
な、何それ!わからないんだけどっ!
すると、赤井くんがすぅっと息を吸って、怒鳴り声のような大きな声を張り上げた。
「高級焼肉ゲットするぞーーー!!!」
「オーーーーーーーーッ!!!」
みんなが一斉に張り上げたその声は、
雲の切れ間から覗く青空に吸い込まれていった───。
「会長。会長は、どうしてあの人にそこまで構うんですか?」
「何だ正貴。どうした急に」
「これも、あの人を更生させるための手なんですよね?そうじゃなきゃ……まるで会長はあの人のことを…………」
「正貴」
この時、小森は会長に何かを耳打ちされたらしい。
「……………え?会長それって……」
「さぁ。仕事に戻るぞ」
と言っても、小森と会長の間でこんなやり取りをしていたことすら、私は全く知る由もなかったんだけど……。