「だけど、コイツはこう見えて、案外寂しがり屋で泣き虫なんだ。うまい飯を食うと幸せそうな顔をするし、楽しいけりゃ顔をクシャクシャにして笑う。間違えたことはきちんと謝れるし、負けず嫌いで、頑張り屋だ」



会長が目を細めて私を見る。



「噂は色々あるが、そういうコイツのことも見てやってくれ。悪いヤツじゃないのだけは俺が保証する」



会長……。



「よろしく頼む」



会長はそう言うと、「あとは自分で頑張れ」って言うみたいに私の頭をポンポンと撫でて、小森を連れて来た道を戻って行ってしまった。



会長がいなくなると、途端に熱いものが込み上げてくる。


目頭が熱い。


胸の奥が温かい。



なんなのもうっ……。


会長こそバカタレじゃん。


あんなこと言ったって、みんな知ったこっちゃないっての。


だけど、もうそれでもいいやって思う。


誰に分かってもらえなくても、会長が……会長さえわかってくれていれば、それでいいよ。


さっきまで怖かったクラスメイト達の視線も、今はもう気にならなかった。



「私っ……!」



ぎゅっと手を握って、真っ直ぐみんなを見据える。


みんながビクッと肩を揺らすのがわかった。



「こんな見た目だけど、喧嘩とか悪いこととかしたことないっ。ついでに言えば、男の人と付き合ったことすらないっ」