そう思って来た道を戻ろうとした瞬間、私の手を掴む会長の手に力がこもった。


驚いて振り返ると、会長はクラスメイト達の方を見据えている。


その視線がゆっくりと私に移動してきたかと思うと。



「……っ!」



戸惑う私の肩を会長は力強く引き寄せてきた。



「ちょっと!会長!?」



「コイツは見ての通り校則は守らないし、見た目は派手だし、学園きっての問題児だ」



は?



「口は悪いし目付きは悪いし。そのくせ強情で意地っ張りでわがままで、おまけに気がちっちゃくてバカタレで」


「なっ……!?」



バカタレは余計でしょー!?



「関わりたくないと思っても仕方ないと思う。むしろ、当然だ。俺ですら手を焼いてるんだから」


会長はわざとらしくはぁーと溜息をついてみせる。


手を焼かせて悪かったわね!


コイツ人のことをそんな風に思ってたわけ!?


失礼しちゃう!


何より、今この場でそんなこと言う必要ある!?


クラスメイト達も唖然としている。


ほら!みんな引いてるじゃん!


ただでさえ良からぬイメージなのを更に悪くしてどうする!!


何を考えてるんだと会長をギロリと睨みつければ、意外にも優しい目を向けられてしまって思わずドキッとしてしまった。