いつの間にか私達に追いついた野々原さんと小森も混ざって、あーだこーだと参考にならないアドバイスをしてくる。


野々原さんとか何だか楽しそうだし。


てか、小指で耳の穴をほじって、どうでもよさそうなそこの小森!!


お前絶対適当だろ!!



「ってか、徐々に距離を詰めてくっていう選択肢はないわけ!?」


「そんなまどろっこしいことしてたら、お前みたいなヤツは何年かかるかわからないだろうが。その前に寿命が尽きる」


「そこまで臆病じゃないわっ!!」



目の前のクラスメイト達は和気あいあいと楽しそうに練習をしていて、私が現れた瞬間にこの空気がピリつくんだろうなって思うと、予想以上に勇気が持てない。


きっとみんな、私が参加しなくて良かったって思ってるよね。


それが、急に参加しますなんてなったら、誰だって戸惑うよ。


出来ればそんな思いはさせたくないし、そんな空気を感じとりたくもない。



「ったく世話のかかる。こんなもんな、今日頑張ろうが、明日頑張ろうが、なるようにしかならないんだよ」


会長はそう言うと、おもむろに私の右手を握った。



え!?


な、何急に!?



なんて考える間もなく。



────グイッ!



強い力でその手を引かれ、みんなの前に連れ出されてしまった。