キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜


私よりも先に滝本の焼いたクッキーを食べながら、コーヒーをすするその人の姿をリビングに見つけたからだ。


お父さん…!!


いつの間に帰ってたの!?


うわぁ…。鉢合わせするのだけは勘弁。


クッキーの香ばしい香りに後ろ髪を引かれつつも、部屋に引き返そうと踵を返す。


だけど……。



「鈴。こっちへ来なさい」



ギクッ!


バ、バレた……。


お父さんに分からないよう、一つ小さく溜息をついて、重たい足取りでお父さんの居るリビングへと移動した。





高い天井にぶら下がる、大きくていかにも高級そうなシャンデリア。


小さい頃は、これが落ちてきたらどうなるんだろう?だなんて、一人で想像してはゾッとしたっけ。


その下でお父さんと二人。これまた高そうなアンティーク調のソファーに腰を掛け、滝本の焼いたクッキーをお供にお茶をする。



「お父さん……。いつ帰ったの」


「丁度今さっきだ」



ちっ。私が部屋に着替えに行ってる間か……。


帰ってきたことが分かってたら一階になんて下りてこなかったのに。


滝本も知らせてくれればいいのにさっ。