「小雪!」

目を開けると、目の前に優也とお母さんの顔があった。

まだ、夢の中なのかな?

優也の優しい手が私の頭をそっと撫でていてくれる。

ずっとこの時間が続けばいいのに…。

現実に戻ればまた優也に辛く当たられる。

「小雪?まだ寝ぼけてるの?お母さんと優也くん、本気で心配したんだから!優也くんが見つけてくれなかったらあんた、死んでたかもしれないんだよ⁈」

え?

それ、どういうこと?

「どういう、こと?」

「優也くん、あんたが倒れてるところを一番に見つけてくれたのよ?優也くんは命の恩人なんだからね?」

優也は複雑そうな顔で俯いている。

「おばさん、俺、そんなこと言われる資格ありません…。今日はもう失礼します…」

優也はお母さんに頭を下げると私の方を申し訳なさそうな顔で見て病室を出て行った。

「優也くん、この頃どうしたんだろうね?めっきり遊びに来なくなったと思ったら、裸足で家に来て小雪のこと見つけちゃうんだから、びっくり」

「裸足?」

私は思わず聞き返していた。

裸足で来る程の用があったの?

「裸足よ。何か急ぎの用があったみたいなんだけど、聞きそびれちゃったわね」

一体、何があったと言うのだろう?

あんな風に縁を切った奴が…。

お母さんに色々聞かれることを覚悟していたけど、結局何も聞かれることはなく穏やかに帰って行った。

お母さんも何かを察してくれたのかも知れない。