ぎゅっと、隣で…… 

 サキは、和希が帰ってくると早速問いただした。


「和希。優一と南朋ちゃんは、祭りでなんか話しとらんか?」


「さあな? 一緒にいる姿は見んけどな」


「なんで、優一は南朋ちゃんに話しかけんのじゃ?」


「知らんよ?」

 和希は面倒臭そうに言った。



「やっぱし、あの小百合って女が優一はいいのかのう?」

 サキは、肩を落として言った。


「そりゃないだろ? 兄ちゃんが好きなのは昔から南朋ちゃんだろ?」


「今でもか?」


「そりゃそうだろう? 兄ちゃん、祭りの準備の最中も南朋ちゃんの事ばっかり見てるからな。本当に昔から変わらんよな」


「そうか! じゃあ、何故南朋ちゃんに優一は声を掛けんのじゃ?」


「そりゃ、小百合って彼女の事もあるし、大人には大人の事情があるんじゃないのか?」


「何抜かしとるんじゃ! 婆には婆の事情があるんじゃ! いいか和希。優一に南朋ちゃんと話すチャンスを与えるんじゃ!」


「そんな無茶な……」


「いいな!」



「はあ……」


 和希の深いため息が漏れた。