ゆめは、公園の様子を見ようと門の外に出ると、一台のワゴン車が隣の家に泊まった。

玄関からでなく、部屋の窓から何やら荷物を入れている。

この間の婆さんが、なにやら重ねて外に出した途端、一番上に乗っていた丸い物がいくつも転げ落ちた。

ゆめは慌てて、近づき丸い物を拾い集めた。



「申し訳ないよ……」

と、婆さんはすまなそうに頭を下げて受け取った。


ワゴン車が行ってしまおうと、ゆめは思い切って声を方けた。

「今のは、内職かね?」


「まあ…… たいした稼ぎにはならんけども……」

 何故か恥ずかしそうに言う。


「あ、あの…… 私もやらせてもらえんかね」

 ゆめの言葉に婆さんは、驚いた顔を上げた。



「内職なんて、あんな大きな家に住んでいる人には関係ない話じゃないのかね?」


「実は、前に住んでいた時も内職していたんだが、ここまでは運んでくれんて言うもんで、これから探そうと思っておったとで…… ダメかね?」

 ゆめが、お願いするように頭を下げると……


「あははっ こりゃびっくりしたわ。てっきり、金持ちの意地悪な婆さんが来たんだとばかり思っておったわ。私私は、大脇サキ。サキって呼んで下さいな」


「サキさん、私の事はゆめって呼んで下さいな…… よろしくお願いします」


「ゆめさん、内職は沢山あるで助かるけども、お嫁さんの許可はいいかね?」


「え?」

 ゆめは、驚いてサキの顔を見た。


「近所にも、内職していた人おったんだけど、お嫁さんに反対されて辞めてしまった人が何人もおるんだわ」


「そうかね? うちはどうだろうか?」

 ゆめは、家の方に目を向けた。


「私の家でやらんかね? それなら内職の車もお宅の家には止まらんで、大丈夫だわ!」


「いいのかね?」


「私の方こそ助かるわ」


 こうして、ゆめとサキの内職仲間は始まった。