しばらくして、祭りの顔合わせが近くの公民館で行われた。

 大広間のテーブルの上に安い揚げ物のオードブルが並べられ、大量の酒が用意されていた。



 急に入り口がなにやら騒がしくなり、若い女の子達が七、八人入ってきた。



 目を向け優一は、一瞬思考が固まり、一人の若い女の子の姿を追ってしまった。


 どうして? 


 頭の中が、混乱しているのか、それとも胸の中が動揺しているのかも分からない感覚に、自分を落ち着かせるのが精一杯だ……



 入ってきた若い女の子達の中に、間違いなく南朋の姿があった。


 別に女の子が祭りに出るのは珍しい事では無いが、大抵獅子部で笛やら太鼓の役目をしているのに、なぜ煙火部に? 


 しかし、久しぶりに見る南朋は、ショートボブの髪からピアスが揺れ、ずいぶん大人っぽくなっていた。



 優一は、南朋の姿を綺麗だと思った。



 幼い頃、初めて南朋を見た時の感覚が、胸の中に蘇ってきた。


 優一の中で、忘れていた何かがそっと弾ける音がした。