ぎゅっと、隣で…… 

 翔が南朋の部屋にはいると、ドアの前で二人の会話を聞いていた。

 翔も立派に成長したと、ゆめはなんだか胸が熱くなった。


 しかし、なかなかてこずとるようじゃのう。

 そろそろ出番かな……



 ゆめは、南朋の部屋のドアを開けた。

 南朋はベッドの上に伏せたままだ。

 こりゃあ、簡単には外に出んわな……



「すまんが南朋…… いつもの漢方薬が終わってしまってな…… 悪いが買ってきてくれんか?」


「ええ―。明日じゃダメ」


 そう言うとは思ったが、漢方薬が無いと困る事を南朋は良く知っている。



「ダメダメ。今直ぐじゃ!」


 ゆめは、南朋を追いたてるように手を叩いた。


「もう、しょうがないな」

 南朋はしぶしぶ起き上がった…… 


 ゆめは、翔の顔を見ると目で車の鍵をさした。


 翔はハッとした顔をして、


「車のカギ俺が持ってく!」


 カギを手に部屋を出た。