ぎゅっと、隣で…… 

 しばらくすると優一が戻ってきた。


「おい、婆ちゃん。兄ちゃんが翔に南朋ちゃんを連れ出すよう頼んでたわ」


「おう。そりゃ、手間かかるぞ。ゆめさんの出番じゃ」


「はいよ。任せてな」


 ゆめは、急いで家に向かった。



 ゆめは家に戻ると、南朋の部屋の様子を伺った。

 翔が南朋の部屋にいるようだ。

 しばらくして、部屋を出て来た翔は、外に出ると優一と話をして戻ってきた。


「全く。無茶いいやがって」

 翔がぶつぶつ言っている。


「まあ、大丈夫じゃ」


「えっ?」


「優一君に、西金屋の羊羹食べたいなあ。一番高い奴が……と伝えておいてな」


 そう言うと、ゆめはニヤリと笑った。