ぎゅっと、隣で…… 

「優一おるかな?」

 サキは何も知らんふりをして優一の部屋へと入った。


「どうした婆ちゃん?」


「優一、さっき小百合さんが南朋ちゃんの所に来たみたいだけど、何の用事だったのか知っとるかなぁ? 南朋ちゃんの婆ちゃん、えらく心配しっとたけどなぁ……」

 サキはチラッと優一の顔を見た。


 一瞬にして優一の表情が変わった。

 ほら、やっぱり、優一は南朋ちゃんの事になるとすぐ顔に出る。



「兄ちゃん、マズイよ!」


 和希の言葉に、優一は部屋を飛び出そうとした。


 全く、南朋ちゃんの事になると平常心を失うのは昔からかわらんな。

 あと一押しじゃ。



「待たんかい! 優一何処へ行く?」

 サキは珍しく厳しい声で優一に向かって言った


「南朋ちゃんのとこだよ!」


「落ち着け優一…… まずは小百合さんの所へ行って話を付けて来い。そうじゃないと、南朋ちゃんを余計に傷つける事になるんじゃないのか?」


 サキは、優一をじっと見た。

 優一は、我に返ったようにサキを見た。


 「婆ちゃんありがとう」



 優一が出ていくと、「やれやれ」サキはため息をもらした。


「婆ちゃん凄いな」


「アホぬかせ、これからじゃ。こっちにこい」


 サキは、ゆめの待つ部屋へと向かった。