完全にたくさんの人たちに見られてる形だけど、此処に来た理由をきちんと説明しなければならない。


自分の方へ彼女を向かせて再び見つめ合う。
「少しだけ僕にも時間をください」と言うと彼女はキョトンとしてる。
大丈夫、想定内だ。
一歩下がって片足だけ膝まつく。


そう、よくあるシチュエーションだ。
まさかと周りもざわつき始める。


目の前に差し出した結婚指輪。
それに気付いた彼女は号泣しだす。


「ガンバレ〜!」と周りがはやし立ててくれて、何か有り難い状況だ。
一生懸命心をこめて言います。
だから聞いてください。


「もう芹以外考えられません、僕と結婚してください!!」


言った…………


とうとう言ってしまった…………


予定よりやや前倒しにはなったけど、まさかこんな知らない場所でプロポーズするなんて夢にも思わなかったけど、今、僕の全部を出しきった。


彼女も一歩近付いて今にも震えそうな僕の手をそっと包み込み、「こちらこそよろしくお願いします」と僕を立たせてくれる。
指輪を薬指にはめて抱きしめ合うと拍手に包まれた。


「何かすみません」と赤面になりながら周りに謝る2人。
見ず知らずの人たちに祝福されるのも悪くないね。
同じ時間、同じ空間で共有出来た事、僕たちは一生忘れないと思う。