「行かなきゃって思うんだけど、私大丈夫かな?智くんと離れるの」
え……?
悪いけどちょっと拍子抜けした。
単なる甘えだったみたい。
だとしたら可愛すぎる。
「離れたくないの?」と逆パターンで追いつめる。
「智くんは平気なんだ…」としょげててキュン…!
「つまんないの」って俯く彼女の手を取る。
「平気なわけないだろ、でも…芹の大好きな仕事で、大事な学会だって聞いたら応援するしかないじゃんか」
「智くんがワガママ言って取り乱すとこ、見たかったな」
「ある意味取り乱してるよ、芹がそんな顔するから」
ごめんな……
女心っていうの?
わかってやれなくて。
頼りない彼氏でごめん。
「どんな顔よ」って笑う横顔。
グッと引き寄せ髪を撫でる。
触れてるこの時が一番幸せなんだ。
華奢な肩を抱いて目を閉じた。
「芹……ワガママを言っていいのは芹だけだよ?僕はそれを受け止める役目だと思ってるんだけど…それじゃダメかな?」

